人材だけでなく企業も成長するタレントマネジメントとは？導入方法や実例も紹介

タレントマネジメントとは、ひとりひとりの能力やスキルにあわせて、適切な人事配置や育成を行うことです。「離職率が高く人材が育たない」「社員ひとりあたりの生産性をあげるためにはどうしたらいいのだろう？」とお悩みの方は、タレントマネジメントを導入してみてはいかがでしょうか？

効率的な人材育成や生産性の向上、社員の定着率をあげることが期待できます。

この記事では、タレントマネジメントの目的や、メリット、導入方法、成功事例について紹介しています。ぜひ参考にしてください。

タレントマネジメントとは？

タレントマネジメントとは、社員ひとりひとりが備えているスキルにあわせて、適切な人事配置や育成を行うことです。企業が成長していくためには欠かせないため、タレントマネジメントの対象となるのは社員だけでなく、派遣社員やアルバイトもあてはまります。

また、どのように発展していきたいか、現状抱えている課題は何かによって、運用方法を検討しなくてはなりません。他企業と同じ内容の戦略ではなく、それぞれの企業にあった戦略を設定する必要があります。

メンター制度の事例に関しては、「メンター制度とは？メリット・デメリットと事例から見える導入のポイント」の記事をご覧ください。

タレントマネジメントの目的

タレントマネジメントを導入する理由は、企業が掲げる目標を達成するためです。「売上をあげて事業を拡大したい」などの目標を、タレントマネジメントで効率的に成功させられます。

また、ひとりひとりにあわせた人事戦略は、個人の作業効率を高めることにつながるため、生産性の向上も期待できるのです。

タレントマネジメントが必要とされる背景​

どうしてタレントマネジメントが必要とされているのでしょうか？

3つの観点から解説していきます。

大規模な会社での人材管理

社員数の多い会社では、人事がひとりひとりの強み・弱み・人柄などを把握するのは難しいものです。そのため、タレントマネジメントシステムを導入し、一元管理することで、業務の効率化をはかることができます。

また、適切な配置や育成を行うことは、社員の満足度をあげることにつながるため、結果的に離職率の低下も期待できるのです。

人事の年収に関する詳しい情報は、「人事の平均年収はいくら？給料が低い原因や年収を上げるコツを紹介」の記事で解説しています。

急速に変わる社会環境への対応

現代社会を取り巻く環境は常に変化し続けているため、順応していくためには社員にもスキルアップすることが求められるのです。

また、グローバル化が当たり前となっている現代社会では、国内だけでなく海外の流行や技術にも敏感である事が大切です。社会環境がどのような変化を遂げても、常に順応していけるような人材育成に努めましょう。

社員の理想と会社の目標との一致

社員の理想を把握しておくことは重要です。働き方やキャリアプランなど、社員が持つ理想はひとりひとり違います。会社が掲げる目標はもちろん大切ですが、社員に押し付けるような運用となってしまっては、社員のモチベーションが低下する原因のひとつになるでしょう。

そのため、社員の理想と会社の目指すべき着地点が一致する目標を設定することが大切なのです。

タレントマネジメントのメリット

タレントマネジメントを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか？

導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

人材の育成が効率的になる

社員の強みや弱みを把握していると、ひとりひとりにあわせた育成プランを立てることができます。企業が発展するには社員の成長が欠かせないため、将来必要となる人材育成をするためにも、研修などに力を入れましょう。

ビジネスパフォーマンスが向上

個人にあった業務を行ってもらうことで生産性の向上も期待できます。ひとりひとり持ち合わせている能力やスキルは違うため、必ず適材適所というものがあります。スキルや能力を発揮できる場所で業務を行うことは、企業にも良い効果をもたらすのです。

社員の満足度が上がる

働きやすいと思える環境では、社員の満足度が向上します。自分の持つスキルを最大限に発揮することでやりがいにつながるからです。生産性の向上だけでなく、社員の定着率をあげることにもなります。

タレントマネジメントのデメリット

タレントマネジメントにもデメリットは存在します。

ここでは2つ紹介します。

導入と運用にかかるコスト

タレントマネジメントシステムの導入には、少なくとも初期費用に数十万円程度、月額料金に数万円のコストがかかります。さらに、人数の多い企業であれば、社員から個人情報を集めるのに時間がかかることも想定されるでしょう。時間に余裕を持って導入を検討しましょう。

実行の失敗が及ぼすリスク

タレントマネジメントシステムを導入するだけですべてが成功するわけではありません。活用できてこそ、成功へとつながるのです。万が一、失敗してしまった場合、導入費用や集めた社員の情報などを無駄にしてしまうリスクが考えられます。導入する目的を明確にし、適切な人事戦略を立て、システムを使いこなしましょう。

「人事の仕事がつらい3つの理由 | 病んでしまった人のための楽になる考え方」の記事では、人事の仕事がつらい理由について深掘りしています。

タレントマネジメントの導入方法

ここではタレントマネジメントの導入方法を、以下の6つのステップにわけて解説します。

• ビジョンと目標の明確化
• 適切な人材の採用
• 従業員のスキル開発
• パフォーマンスの測定と評価
• 社員のエンゲージメント向上
• 継続的な評価と改善

ビジョンと目標の明確化

まずは目標を設定しましょう。できるだけ明確にしておくことが大切です。中長期的な視点を持ち、今後どのような人材が必要になるか、何人増員すべきかなどを決めましょう。人事だけでなく、経営者層にもヒアリングし設定することが重要です。

人事コンサルティングについて知りたい人は、「人事コンサルティングとは？仕事内容や向いている人の特徴・平均年収まで解説」の記事も読んでみてくださいね。

適切な人材の採用

掲げた目標にあった人材採用を行います。新卒、中途採用のどちらにもいえますが、今は目標とするレベルのスキルがなかったとしても、育成することで理想の人材となる可能性があります。そのため、スキルアップする素質があるかどうかを重視して採用しましょう。

従業員のスキル開発

スキル開発は個人にあわせて行いましょう。ひとりひとり経験やスキルは違うため、それぞれにあわせた研修などを実施することが大切です。また、研修後に定期的にフォローをし、スキルが定着しているかの確認もしましょう。

パフォーマンスの測定と評価

人事戦略の効果を確認するためにも、一定期間が経過したら評価しましょう。改善点がないかを確認し、今後の運用方法を再度検討します。このとき、組織を評価するだけでなく、社員へのヒアリングなどからも評価することが大切です。

人事の仕事に向いている人については、「人事の仕事に向いている人とは？あなたの適性を活かして花形ポジションを目指そう！」の記事で触れています。

社員のエンゲージメント向上

社員の理想とする働き方、働く目的、キャリアプランは人それぞれです。エンゲージメントを向上させるためにも、タレントマネジメントで得た社員の情報から、ひとりひとりにあわせた人材育成や人事配置を行いましょう。

継続的な評価と改善

運用がはじまったら、定期的に評価・改善を行いましょう。現代社会は常に変化しているため、社会環境に適した目標設定となっているか、人材育成は順調に進んでいるのかなどを確認してください。

タレントマネジメントの実践事例

タレントマネジメントを行い、成功させた企業の実例と、失敗事例を紹介します。

成功した企業の事例紹介

認可保育園の運営をしている「グローバルキッズ」では、タレントマネジメントシステムの導入で離職率を低下させることに成功しました。

2,000人を超える職員が働いていますが、職員とコミュニケーションを取るときにはシステムを見ながら名前を呼ぶことを心がけているんだそう。信頼関係が深まったことが、職員を定着させる要因のひとつになったと中正社長は語っています。

また、採用時にもシステムを活用することで採用のミスマッチを防げているんだそう。退職理由のデータを集め、採用担当者に共有しておくことが離職率を下げることにつながり、全国平均以下の離職率となったそうです。

参考：カオナビを2年半活用した結果、職員2,439人の従業員満足度が向上し、離職率は全国平均以下になりました

失敗から学んだ事例紹介

失敗してしまう原因は以下の3つの理由が考えられます。

• 導入目的が明確でなかった
• 社員から理解してもらえなかった
• 運用ルールが定まっていなかった

目的を明確にできないまま運用すると、方向性がぶれてしまいます。目的は必ず明確にしておきましょう。そして、運用する前には社員の理解を得ることが大切です。個人情報を集めることになるので、情報収集の目的、活用の範囲、メリットなどを説明しなくてはなりません。さらに、タレントマネジメントシステムは常に更新することが大切です。誰がどれくらいの頻度でデータを更新するのかなど、担当者をあらかじめ決めておきましょう。

せっかく導入したのに失敗に終わってしまったとならないためにも、失敗事例を踏まえて運用方法を検討してみてください。