リモートワークが普及したことで、従来の人事評価が使用しづらいと感じていませんか?現代社会は目まぐるしく変化しているので、時代に合わせた人事評価制度の導入が大切です。
この記事では、目標管理制度(MBO)について解説しています。社員自らが目標を設定するため、わかりやすい人事評価ができるだけでなく、生産性の向上や社員のスキルアップも期待できます。ぜひ参考にしてくださいね。
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目標管理制度(MBO)とは?
人事評価にも使用される「目標管理制度」とは、いったい何のことなのでしょうか?
ここでは、以下の4つについて解説します。
- 目標管理制度の基本
- 目標管理制度の目的
- 目標管理制度が生まれたきっかけ
- 日本における定着の状況
「人事評価の書き方|評価基準の設定方法や6つの職種別の例文も紹介」の記事では、人事評価の書き方について解説しています。
目標管理制度の基本
目標管理制度とは、会社の目標を踏まえたうえで、社員ひとりひとりが自らへの目標を設定することです。会社や上司から指示された目標ではなく、自分で目標を決めることができるため、社員のモチベーションがあがりやすいことが特徴があります。
この目標管理制度について言及したのは、米国の経営学者ドラッカー氏。「現代の経営」という本の中で提言しました。英語で「Management by Objectives」といい、頭文字を取ってMBOと略して使用されることもあります。
目標管理制度の目的
目的は大きくわけて2つあります。
社員のモチベーションを向上させる
自ら決めた目標なので、社員は達成のために自主的に行動します。日々のパフォーマンスも上がり、生産性やスキルアップの向上が期待できます。
人事評価の効率化がはかれる
目標管理制度を人事評価に活用することで、成果だけでなく目標達成のためのプロセスも評価できるようになります。目標の達成具合に応じて、社員の給与や報酬を決定することもあります。
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目標管理制度が確立された背景
どのようなきっかけで目標管理制度が生まれたのでしょうか?
日本での定着状況とあわせて解説します。
目標管理制度が生まれたきっかけ
目標管理制度の前身となったのは「ノーレイティング(No Rathing)」という考え方でした。ノーレイティングは人事評価は必要ないという意味を持ち「仕事ができるかどうか」といった、社員の格付けはやめようという動きを指しています。
米国での従来の人事評価方法は「目標設定→進捗状況の把握→評価」という、一般的な方法でした。しかし、移り変わりの速い社会において1年中同じ目標だと変化に追いつけないという問題に直面し、ノーレイティングという考え方が誕生。それが変化して目標管理制度が生まれたのです。
等級制度について知りたい人は、「等級制度とは?3つの制度のメリット・デメリット、導入事例も紹介」の記事も読んでみてくださいね。
日本における定着の状況
日本では約7〜8割程度の会社が目標管理制度を導入しているといわれています。
広く普及したのは1990年代のバブル崩壊時。「年功序列型制度」がほとんどの会社で利用されていたため、人件費がかさみ経営を圧迫していました。社員の成果に関係なく給与を払い続けなくてはならないという制度を一新するために、目標管理制度が導入されたのです。
近年では、リモートワークの普及、上司と部下のコミュニケーションがうまく取れず「進捗状況がわからない」といった問題を解決するために、再注目されています。
ワークサンプルテストについては、「ワークサンプルテストの導入でより優秀な人材確保につなげよう!」の記事を読むことで、さらに詳しい情報を理解することができますよ。
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その他の目標管理方法との違い
目標管理方法の種類はさまざまあります。
ここでは、よく比較される3つの方法との違いについて解説します。
ケイパビリティに関する詳しい情報は、「ケイパビリティとは?戦略や使い方の例とスキルやコア・コンピタンスの違いも紹介」の記事で解説しています。
OKR
OKR(Objectives and Key Result)は、組織全体で掲げている目標を短期間で定期的に進捗状況を確認するという方法です。会社と社員の目標が一致しているので、チーム力の強化や生産性の向上が期待できます。
また、全員で目標を共有しているため、達成状況がわかりやすいこともメリットです。しかし、OKRの目標達成基準は60〜70%、目標管理制度の基準は100%と、比較すると達成基準が低いことがわかります。
「強い組織とは?副業解禁によって企業にもたらされる影響と会社として取るべき態度について考察」の記事では、強い組織に関して興味深い視点で解説しています。
KPI
KPI(Key Performance Indicator)とは、目標を達成するためのプロセスを確認する方法です。目標達成状況を把握したり、業績の伸び具合を確認したりするのに適しています。
しかし、数字で判断するため、プロセスが見落とされてしまうことも…。
大きな目標を達成するための過程でぶつかる小さな壁や、乗り越えるための方法が指標となります。
ノーレーティング
ノーレーティング(No Rating)とは、社員の格付けや点数化はしないという考え方です。そのため、上司は常に部下の働きぶりや業務の進捗状況を把握しておかなければなりません。上司と部下の密なコミュニケーションが重要となります。
しかし、点数化されないということから社員の評価に差がつきにくく、モチベーションが上がらないという問題点があります。
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目標管理制度のメリット・デメリット
目標管理制度にはメリットもデメリットも存在します。
それぞれ3つずつ紹介するので、導入の際には参考にしてください。
目標管理制度のメリット
メリットを3つ紹介します。
社員が自発的に行動する
社員は自ら目標を設定するため、達成に向けて自発的に行動します。スキルアップのための勉強や達成までの綿密な計画など、熱意を持って仕事に取り組むことが期待できます。
社員の納得感が高い人事評価ができる
人事評価は社員にとってその後のキャリアや報酬などにかかわるため、腑に落ちない評価だと不満がでやすいものです。しかし、社員自らが決めた目標に沿って数字で評価するため、社員の納得感が得られやすいでしょう。
会社の成長につながる
社員ひとりひとりが掲げた目標は、会社の目標に則って設定しています。そのため、個人目標を達成すれば、おのずと会社の目標も達成できるのです。高いモチベーションで達成した目標は、社員を成長させるだけでなく会社の成長にもつながっています。
目標管理制度のデメリット
デメリットを3つ紹介します。
上司の業務負担が増える
社員が設定した目標を確認するために、定期的に振り返りの時間を設ける必要があります。自ら決めた目標に対し正しい方法でアプローチできているのか、つまづいているところはないかなど、フィードバックしなくてはなりません。
時代の変化で目標が適さなくなってしまうことがある
現代社会は目まぐるしく変化しています。目標管理制度では1年間の目標を設定するため、いつのまにか目標が時代にあわなくなってしまうこともあるでしょう。
達成基準が数値化できない職種へは使用しづらい
成果が数値化しづらい人事部や総務部などは、目標を設定することが難しいといわれています。さらに、なんとか設定した目標でも、数値化して評価するのが困難で、上司が負担に感じてしまうこともあるでしょう。
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目標管理制度を成功させるためのポイント
目標を設定するときはどのようなことを注意すべきなのでしょうか?
ここでは4つのポイントを解説します。
目標を明確化する
社員自らが決める目標は、誰もがわかりやすい目標設定となるように意識しましょう。なるべく数値で評価できる目標にしておくことで、社員自身も上司も進捗状況がわかりやすくなります。
目標に適切な難易度を設定する
モチベーションを上げるためにも「少し高め」に設定しましょう。頑張ったら達成できる目標であれば、社員の主体的な行動が期待できます。
できるだけ数値化して定量化する
営業なら「昨年売り上げの120%を達成する」など、具体的に数字を入れて目標を決めましょう。数値化しておくと、目標達成までにどのような対策をすればいいかなどの小さな目標も立てやすくなります。
スケジュールを明確化する
いつまでに達成すべきかも決めましょう。目標管理制度で掲げる目標は1年で設定されることが多いですが、達成までのスケジュールは柔軟に変更して構いません。社員のモチベーションを上げるために、あえて短期間の「3か月後に達成する」といった目標の立て方でも良いのです。
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目標管理制度導入4つのステップ
目標管理制度を導入するための、4つのステップを紹介します。
順番に行うことで効果が得られるので参考にしてください。
目標を設定する
説明会や研修を行い、会社の目標を社員ひとりひとりに共有しておきましょう。最終的に会社の目標を達成しなければ成功とはいえません。そのため、社員は会社の方針に沿った目標の設定が必要となります。
社員の目標設定後は、会社の方針に沿った内容か、高すぎたり低すぎたりする目標でないかを上司がチェックしましょう。
計画を立てて実行する
目標が達成できるよう、具体的な計画を立てましょう。「いつまでに」「どれくらい」などと、明確な目標を決めておくことで行動しやすくなります。
万が一うまくいかなかったときのために、複数の計画を立てておくことがおすすめです。
進行状況をチェックする
どれくらい達成できているのかを定期的に確認しましょう。もし、アプローチの方法が違うようであれば、具体的な改善方法を示すことも大切です。
日ごろからコミュニケーションを密に取ることで目標を意識することにつながるので、会話することを心がけましょう。
評価とその後のフォロー
最終的に目標を達成できたかどうかについて評価しましょう。社員の自己評価を踏まえ、上司からの客観的な評価をします。成果だけでなく、プロセスについてもフィードバックし、改善点も具体的に伝えましょう。
評価して終わりではなく、社員のその後の成長を考えたフォローも大切です。
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まとめ
目標管理制度は、社員だけでなく会社の成長へもつながります。会社が掲げる大きな目標を達成するためには、社員ひとりひとりの目標達成は欠かせません。そのために、上司は社員とコミュニケーションを取りながら、達成状況を確認することが大切なのです。
自発的に行動できる社員の育成もできる目標管理制度の導入で、会社の成長を目指してみてはいかがでしょうか?
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