組織がより効率的に成長するためには、組織学習が効果的です。組織全体が同じ目標に向かって一丸となって動くことで、個人では実現できないような大きな成果を残せる可能性が広がるからです。全員が同じ目標を持ち、自分で考え行動していくことは、結果的に個人のスキルアップだけでなく組織の成長につながります。
この記事では、組織学習の定義やメリット、活用方法や実例を紹介しています。これから組織学習を取り入れようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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組織学習とは
組織全体が成長するためには、組織学習はかかせません。
ここでは、定義やメリットについて解説します。
「組織文化とは?メリット・デメリットについて具体例を挙げながらわかりやすく解説!」の記事では、組織文化に関する内容を興味深い視点で解説しています。
組織学習の基本的な定義
組織学習は、個人が学習して身につけたことを組織内のメンバーと共有することで、組織全体が環境に適応できるようになることをいいます。企業が継続していくためには、環境の変化に常に適応していかなければなりません。
そのため、組織学習がもっとも必要とされるのはいつものルーティーンが崩れたとき。これまでのやり方では乗り越えられないような問題が立ちはだかったときに組織学習が役立ち、組織に新しいルーティーンが出来上がります。
組織学習の役割とメリット
組織学習の大きなメリットは、問題を解決できることです。トラブルや問題が起きたときに組織全体で協力して解決を目指すことで、多くのアイディアがより良い解決方法を導き出します。
また、組織内の全員が同じ目標を持ちゴールを目指していると、個人では難しい大きな結果を残すことや、より短期間での成功を実現できる可能性が高まるのです。組織学習では、全体を動かそうとする力が働くので、自然とチーム内のコミュニケーションが盛んになりメンバー同士の絆も深まります。
自主的に考え、まわりと協力しながら問題解決しようとするので、ひとりひとりが自分の仕事にやりがいを持てるのです。結果的に、従業員のモチベーションアップにもつながります。
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組織学習の仕組み
組織学習はシングルループ学習と、ダブルループ学習に分類されています。しかし、どちらかだけを取り入れることはおすすめしません。なぜなら、日々の業務やルーティーンにはシングルループ学習が、企業の先行きや業績が不安定になったときにはダブルループ学習が大切になるからです。2つを取り入れることで、組織は最大の力を発揮します。
ここではひとつずつ解説していきます。
「360度評価とは?評価項目の作成ポイントやフィードバックの注意点も解説」の記事では、360度評価についてさらに深掘りしています。
シングルループ学習
シングルループ学習は低次学習とも呼ばれ、組織が時間をかけて成長していくときに必要になります。いわゆる「PDCAサイクル」がシングルループ学習に該当するのです。しかし、PDCAサイクルは「Plan(計画」→「Do(行動)」→「Check(確認・調査)」→「Act(改善)」を繰り返すのに対し、シングルループ学習は「行動・プロセス」→「結果」を反復するだけ。
既存の知識ややり方に沿って、より効率的に業績を伸ばしたり、より効果的な手順を手に入れていきます。
しかし、既存のやり方や過去の経験にもとづいて問題解決を目指すので、前例がないと解決できないこともあるという弱点を持ち合わせています。
ダブルループ学習
ダブルループ学習は高次学習とも呼ばれ、既存の知識ややり方を変えて新しい事業や手順を作り上げることです。業績がある程度軌道に乗った企業が、新たな事業を展開するときに必要とされます。
「行動・プロセス」→「結果」→「アンラーニング・問い直し」を繰り返すことで、組織は学習していきます。
ちなみに、ここでいうアンラーニングは知識を捨て去り学びなおすことではなく、既存のやり方や考え方をより良くするために修正することです。
変化の速い現代社会では、ダブルループ学習が特に重要といえるでしょう。
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組織学習の具体的な活用法
組織学習をどのように取り入れるべきかについて解説します。実例から見る効果についても紹介していますので、参考にしてください。
強い組織について知りたい人は、「強い組織とは?副業解禁によって企業にもたらされる影響と会社として取るべき態度について考察」の記事も読んでみてくださいね。
組織学習を活用する手順
変化していくスピードが速い現代社会に適しているといえるダブルループ学習を取り入れるための方法を4つのステップで紹介します。
1.あえて高い目標を設定する
これまでのやり方を根本的に変えるには、既存のやり方で達成できる目標を設定してはいけません。あえてハードルが高すぎると思うような目標を掲げることで、新たな価値観や気づきが生まれルーティーンは一新されるでしょう。
2.意見交換が活発な会議をする
ブレインストーミングと呼ばれる、新しい考え方を生み出すための会議を行いましょう。大切なのは、どのような意見でも受け入れること。決して批判やネガティブな発言はしてはいけません。想像力を働かせた斬新な意見で、新たな風を吹かせましょう。
3.上司や管理職への報告する
会議ででた意見は上司や管理職へ報告します。取り入れられるものを予算やスケジュールなどとすり合わせて、新しいやり方を実行できるよう検討してもらいましょう。企業を変えるためには、思いもよらないようなアイディアが役立つのです。
4.外部研修の検討
知らないことを学ぶことは視野を広げることになります。通常業務から離れて、新しい知識をつける機会を作りましょう。良い刺激となりアイディアが生まれたり、従来の価値観を一新できるきっかけができたりするでしょう。
実例で見る組織学習の効果
アメリカのフォード社の実例を紹介します。
1990年代、自動車市場が一変したことにより開発部門ではスケジュールの遅れが常態化していました。もちろん開発が遅れることで、開発費は予算オーバー。管理は徹底されていましたが、改善は見られませんでした。
そんなとき、経営陣は組織学習の導入に向けた研修に参加します。学んだことを現場で活かすために、月1回の会議の後に2時間の「振り返り」の時間をとったのです。
するとその成果もあり、抱えていた問題点の根本が発見されました。問題を改善できるようチーム同士が本音で話し合い、共有した目標を達成できるよう努力しました。そして結果的に、新しい施策が誕生したり開発プロセスの改革が起こったのです。おかげで顧客満足はもちろんデザインも高い評価を得られ、掲げていたさまざまな目標を達成しました。さらに、開発時期は前倒しで完成し、開発費は80億円も抑えたのです。
参考:学習する組織入門(8) 「学習する組織の実践事例(1)」
このように、組織学習は内部にある問題点を洗い出すことができます。フォード社の場合、納期を守らない開発部門に問題があるように見えましたが、エンジニアの思い込みと部下に対する指導習慣が原因だったことがわかったそうです。高い壁を乗り越えるには、問題点を深く掘り下げる必要があるのです。
新卒で人事職については、「新卒で人事職に採用されるには?面接のコツと経験を積むための工夫」の記事でさらに解説しています。
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組織学習のよくある誤解
組織学習を導入するときに、誤解されがちなことがあります。それは、経験することが大切だということです。もちろん、組織学習をするにあたって経験はかかせません。しかし、最も重要なのは「振り返る」ことです。
経験したことに対ししっかりと振り返る時間を取り、良かった点悪かった点をあげましょう。新しい考え方や価値観が生まれるきっかけができます。経験するだけでとどまってしまっては、結局従来のやり方から抜け出せないのです。
ケイパビリティについて興味がある人は、「ケイパビリティとは?戦略や使い方の例とスキルやコア・コンピタンスの違いも紹介」の記事をご覧ください。
まとめ
組織学習は、シングルループ学習とダブルループ学習に分類できます。変化の速い現代社会にはダブルループ学習が適していますが、一方だけを取り入れるのは得策ではありません。
両方を活かすことで、企業は成長していくのです。人間は変化を嫌う傾向があります。しかし、変化しなければ個人も組織も成長できません。従来のやり方を一新したいと考えているなら、組織学習の導入をぜひ検討してみてください。企業に新しい風を吹かせて、組織全体でステップアップしていきましょう。
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