ニューロダイバーシティという言葉を聞いたことがありますか?
「ダイバーシティは知っているけれど、ニューロダイバーシティは知らない」という方もいるはず。
ニューロダイバーシティとは、発達障害がある人やグレーゾーンの人の特性を個性として受け入れ、活躍できる社会を作ろうという考え方です。
今回は、ニューロダイバーシティという言葉を初めて聞く方のために、言葉の定義や利点などを解説します。
この記事を読めば、ニューロダイバーシティの基本を抑えることができますよ。
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ニューロダイバーシティとは?
ニューロダイバーシティ(Neurodiversity)は、「精神多様性」と訳されます。Neuro(神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉をかけ合わせて生まれた比較的新しい概念です。
まずは、ニューロダイバーシティの定義や特徴を確認していきましょう。
ニューロダイバーシティの定義
ニューロダイバーシティは、教育や障害に対する新しいアプローチの一つ。「神経的差異や脳の違いを多様性として受け入れ、社会の中で個性として活かしていこう」とする考え方です。
例えば、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)など、これまで健常者中心の社会になじむのが難しかった人々を受け入れ、互いに尊重し合う。それがニューロダイバーシティのあり方と言えるでしょう。
ニューロダイバーシティの種類と特徴
ひと言で発達障害と言っても、例えば学習や言語習得の遅れが見られる人や、コミュニケーションや対人関係・社会性に障害がある人、多動・多弁の性質がある人など、個人が持つ特徴は様々です。複合的な性質を持つ人もいるでしょう。
ニューロダイバーシティでは、個々の人が持つ異なる脳の特性や傾向に焦点を当てています。組織やチームがこれらの多様性を尊重し、受け入れていく必要があります。
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ニューロダイバーシティのメリット
ニューロダイバーシティには、人権尊重の観点からだけでなく、ビジネス面においてもメリットが期待されています。
ここからは、ビジネスにおいてニューロダイバーシティを推進していく利点を見ていきましょう。
人事になるには?について興味がある人は、「憧れの人事になるには?必要なスキルや資格、おすすめの業界についても解説!」の記事をご覧ください。
特性を活かした強みになる
ニューロダイバーシティは、脳や神経の違いを個性として受け入れる社会。異なる脳の特性や思考スタイルを仕事に反映することができれば、生産性が高まる可能性もあります。
さらに、異なるコミュニケーションスタイルや感情の表現方法を理解することで、メンバー間のコミュニケーションが円滑になり、チームワークや協力の向上も期待できます。
イノベーションをもたらす
異なる脳の特性や思考スタイルを持つ個人が集まることで、新たなアイデアや視点が生まれやすくなります。これにより、組織内の創造性とイノベーションが活性化することが期待できるでしょう。
さらに、幅広い視点から問題にアプローチできるため、組織の問題解決能力も向上します。異なるアプローチや考え方を柔軟に受け入れるニューロダイバーシティならではの利点といえるでしょう。
組織の成功に貢献できる
ニューロダイバーシティの浸透は、健常者の従業員も恩恵をもたらすでしょう。ニューロダイバースな人々だけでなく、すべての人が個々の特性が尊重される環境で働けるようになれば、仕事への満足度も高まるからです。自分の特性で組織の成功に貢献できれば、モチベーションが高まり生産性も向上します。
さらに、ニューロダイバーシティを取り入れた組織は、異なるアプローチや視点を活用して競争力を高めることができます。市場の変化や課題に対して柔軟に対応することができるでしょう。
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ニューロダイバーシティを採用した事例
ここからは、実際にニューロダイバーシティを取り入れた企業の事例を見ていきましょう。
アクサ生命
アクサ生命は、2020年4月から組織内外でニューロダイバーシティに関する啓蒙活動を行っています。
同社では2019年から発達障害に関する社内セミナーなどが社員有志により行われていましたが、それを2020年の国連自閉症啓発デーにあわせて外部にも展開した形です。
アクサ生命はダイバーシティ&インクルージョン(多様性を認め合い、活かしていくこと)を掲げ、発達障害だけでなく、多様な個性を持った従業員が活躍できる社会を目指しています。
武田薬品工業
武田薬品工業は2022年、「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」を発足させました。
現在賛同企業・団体は、花王株式会社、三井不動産株式会社、野村ホールディングス株式会社などの大企業を含めて11社。武田薬品工業を中心に、多様性あふれる職場の実現を目指し、ニューロダイバーシティ概念の普及や啓蒙活動などを行っています。
デジタルハーツ
株式会社デジタルハーツは、障害者手帳を持つ人だけでなく、ニューロダイバースな人々を積極的に雇用しています。
ゲームやソフトウェアのデバックを中心とした業務を行う同社は、ゲームが好きな発達障害がある方を含む元フリーターや元引きこもりの人材を積極的に採用。配慮と適切な訓練を経て、デバックやプログラミングのスペシャリストに育てることに成功しました。
個性を活かせる業務を割り振ることで、多様な人々に活躍の場を与えることに成功した企業と言えるでしょう。
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個人の特性とニューロダイバーシティ
ニューロダイバーシティの導入と活用には、個人の特性や発達障害への理解が欠かせません。
ここからは、ニューロダイバーシティを取り入れるためのポイントを確認していきましょう。
OJDに関する詳しい情報は、「OJDとは?会社の将来を担う人材を育てるために効果的なOJDについて解説」の記事でも解説しています。
特性の評価方法
ニューロダイバースな人々を評価する際は、一般化された評価方法を取ることはできません。それぞれに得意と不得意、できることとできないことがあり、健常者と同様の基準で判断することが難しいからです。
評価方法を定める際は、発達障害の特性を理解したうえで、能力を正しく評価する基準を設ける必要があります。
360度評価に関する詳しい情報は、「360度評価とは?評価項目の作成ポイントやフィードバックの注意点も解説」の記事でも解説しています。
発達障害との関連
ニューロダイバーシティでは、自閉スペクトラム症やADHD、学習障害などの発達障害のある人を取り上げることが多くなっています。
しかし、脳の多様性はすべての人が持つもの。発達障害の診断を受けている人とそうでない人を、二分する考え方ではありません。
発達障害のある人に活躍の場を提供することはもちろん、ニューロダイバーシティの広がりによってすべての人が特性を活かせる社会を作っていく必要があります。
個々の能力を支援
ニューロダイバーシティでは、画一化されたサポートではなく、それぞれの能力を支援する体制を整える必要があります。
一定の配慮や支援を提供することで、発達障害のある人に特性を活かして戦力になってもらうのがニューロダイバーシティの目的です。苦手なことをカバーし、得意を存分に発揮できる環境を構築するために、職場全体から理解を得ることも忘れないようにしましょう。
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ニューロダイバーシティを上手に活用するには
ニューロダイバーシティをサポートするためには、組織全体の文化や慣習を調整し、異なる脳の特性を尊重し活用できる環境を築くことが重要です。
以下でポイントを見ていきましょう。
コンピテンシーとは?について知りたい人は、「コンピテンシーとは?メリットやデメリット、導入の手順までわかりやすく解説」の記事も読んでみてくださいね。
個々のニーズへの対応
特性に合わせた対応はニューロダイバーシティをサポートするうえで最も重要な要素の一つです。柔軟なワークスタイルや環境を提供できる体制を整えましょう。
例えば、静かな作業環境を求める人に適切な場所を提供したり、聴覚が過敏な人がイヤーマフを装着するのを許可したり、といったことです。
能力を存分に発揮できる環境を提供することで、品質や生産性の向上など、企業の利益にもつながります。
「ワークサンプルテストの導入でより優秀な人材確保につなげよう!」の記事では、ワークサンプルテストについて解説しています。
コミュニケーションの推進
ニューロダイバーシティのサポートのためには、チームメンバーやリーダー向けに、異なる脳の特性を理解し、コミュニケーションや協力の方法を学ぶトレーニングを提供していく必要があります。
直接的なコミュニケーションを好む人もいれば、間接的なアプローチを好む人もいます。これらの違いを理解し、適切なコミュニケーション方法を取っていくのがベストです。
また、異なるコミュニケーションスタイルや感情の表現方法を理解し、共感することも大切。自分とは異なるアプローチや反応があっても、互いに尊重し合い、対話を深めることが求められます。
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まとめ
ニューロダイバーシティは、差別をなくすという視点を超え、企業が人材獲得競争や多様性社会を生き抜くための重要な考え方としても注目されています。
脳や神経の差異を受け入れ、その能力を発揮できる社会を構築することは、健常者にとっても大きなメリットのあることです。
差別や区別をなくし、すべての人が個々の能力を発揮できる社会を目指して考え方をアップデートしていきましょう。
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