組織文化とは？メリット・デメリットについて具体例を挙げながらわかりやすく解説！

ビジネスにおいて使われる「組織文化」という言葉。聞いたことはあるけれど、具体的にどんな意味なのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

組織文化は、組織のアイデンティティや個性を形成し、従業員の行動に影響を与える大切な要素です。

今回は組織文化の定義や、組織文化の4つのタイプ、組織文化を構築する際のポイントなどを解説します。

組織文化の基本を知りたい方は、ぜひチェックしてください。

組織文化とは？

組織文化とは、企業や組織内部で共有される価値観や行動規範を総合したもの。組織文化があることで、組織にアイデンティティや個性が生まれます。

まずは、組織文化と組織風土の違い、そして社風との違いを軸に組織文化の概念を確認していきましょう。

組織学習については、「組織学習とは？具体例や活用方法、メリットもわかりやすく解説！」の記事を読んでみてくださいね。

組織文化と組織風土の違い

組織文化と組織風土。似た言葉ではありますが、厳密には異なる意味を持ちます。

組織風土は、組織の伝統やこれまでの取り組みから生まれた習慣や組織全体の空気感のこと。例えば、年功序列や能力主義、安定志向、全体主義など、脈々と受け継がれてきた組織のあり方が組織風土に当たります。

組織文化はデザインしていくことができますが、長い年月をかけて染み付いた組織の癖とも言える組織風土は意図的に変えていくことが難しいという違いがあります。

組織文化と社風の違い

社風とは、組織の中での雰囲気や環境を表す言葉。具体的には、組織のコミュニケーションスタイルや風通しのよさ、仕事の取り組み方など、従業員の主観的な感覚を反映したものです。

社風は企業の「人柄」のようなものと例えられることもあります。

社風は組織文化や組織風土から影響を受けて形成されることもあり、明確に分離することは難しい概念です。

組織文化の4つのタイプ

一口に組織文化と言っても、実は4つのタイプにわかれています。

• 家族文化（クラン文化）
• マーケット文化
• イノベーション文化（アドホクラシー文化）
• 官僚文化（ヒエラルキー文化）

ここからは、組織文化の4つのタイプについてそれぞれ見ていきましょう。

自律型組織については、「自律型組織とプロジェクト型組織の違いは？メリットとデメリット・組織力を高める活用方法」の記事を読むことで、さらに詳しい情報を理解することができますよ。

家族文化（クラン文化）

家族文化は組織内での一体感や協力関係を重視する文化のこと。企業を家族のような共同体と捉え、チームワークや協調性、仲間意識を大切にします。

結束力のある組織を形成できる一方で、チームとしての評価を重視するため個人の成果が評価されにくいという欠点もあります。個人主義の従業員とは相性が悪いといってよいでしょう。

また、チームとしての協和を重視するクラン文化は、反発意見を出しにくく、強力なリーダーシップを欠くという傾向も。向上心のある人ほど組織から離れていきやすい点に注意が必要です。

マーケット文化

マーケット文化は、競争と達成に焦点を当てる文化です。組織内での競争を奨励し、目標達成と効率を重視します。結果主義・個人主義になりやすく、向上心や自立心の強い人に向いていると言えるでしょう。

4つのタイプの中で最も結果を出しやすいマーケット文化ですが、チームワークが形成されにくいのが難点。激しい競争が行われるため、従業員の心身の健康やライフワークバランスに影響が出ることも考えられます。

イノベーション文化（アドホクラシー文化）

イノベーション文化は、創造性や革新性を重視する文化。リスクを覚悟の上で、変化や革新に果敢に挑むのが特徴です。

課題解決やチャレンジ精神に長け、トレンドや社会のニーズを読み解いて先進的な技術を生み出すハイテク企業に多い組織文化と言えるでしょう。

しかし、リスクを取って変革に挑むビジネスには失敗の可能性も。また、マーケット文化と同様に組織内での競争が激しいため、従業員のストレスや緊張のケアも重要になります。

官僚文化（ヒエラルキー文化）

官僚文化は、組織内での秩序とヒエラルキーを重視する文化。上位者によるトップダウン式の管理で組織を安定させやすいことが特徴です。官僚文化の名前の通り、役所などでよく見られる組織文化といえるでしょう。

組織内の役割を明確にすることにより効率性を高められる官僚文化ですが、体制が硬直化しやすいというデメリットも。変革や革新の余地は少なく、柔軟な働き方や多様性への対応も遅れがちです。

組織文化醸成のメリット

組織文化を活用することで、組織は様々なメリットを得ることができます。

ここからは、組織文化を醸成していくことのメリットを見ていきましょう。

「メンター制度とは？メリット・デメリットと事例から見える導入のポイント」の記事では、メンター制度の事例に関する内容を興味深い視点で解説しています。

スピーディーな意思決定

組織文化を醸成するメリットの一つとして、スピーディな意思決定が可能になる点が挙げられます。組織文化があることで、共通の価値観をもとに意見をまとめることができるからです。

スピーディな意思決定は、変化の激しい現代のビジネス環境において非常に重要な要素。組織文化を活用して、スピーディな意思決定を可能にし、競争力の維持や新たな機会の獲得につなげていきましょう。

風通しのよい職場環境

適切な組織文化を浸透させることで、風通しの良い職場環境を構築することが可能です。

風通しの良い職場環境を醸成する組織文化は、オープンなコミュニケーション、アイディアの発信と受容、ストレス軽減、協力とチームワークの促進、透明なリーダーシップ、信頼の構築など、さらに多くのメリットをもたらします。

団結力の向上

組織文化による価値観の共有は、団結力の向上にも寄与します。

団結力のある組織では、情報の共有も円滑になり、業務の効率もアップするでしょう。さらに、従業員エンゲージメントが高まり、離職率の減少や組織全体の成長にもつながります。

自発的な行動を促進

良い組織文化が浸透すると、従業員は自ら組織のために行動するようになります。

組織の目標達成・成長のためには何をしたらよいかを自発的に考え、行動できるようになるのです。これにより、従業員の問題解決能力がアップしたり、リーダーシップの資質を発展させる機会を得ることにもつながります。

人材定着率のアップ

組織文化が従業員の価値観や目標にマッチしたものであれば、従業員エンゲージメントが高まり、人材定着率のアップにもつながります。

また、組織文化を積極的に外部に発信していくことで、組織の価値観に共感する人材が集まりやすくなるメリットも。価値観のマッチした人材を採用すれば、入社後のミスマッチを減らすこともできるでしょう。

組織文化を改革する場合の注意点

ここまで、組織文化のメリットを解説しました。適切な組織文化の醸成は、従業員エンゲージメントの向上や組織の成長に寄与します。

しかし、組織文化を改革していく場合はいくつかの注意点にも目を向けていく必要があります。

ここからは、組織文化を改革する際の注意点を確認していきましょう。

人事になるには？について知りたいは、「憧れの人事になるには？必要なスキルや資格、おすすめの業界についても解説！」の記事をご覧ください。

組織の現状を正しく把握する

組織文化の改革を進める前に、組織内部の調査と分析を行うことが不可欠です。

組織の現状を正しく把握することは、文化改革の成功に向けた第一歩です。正確な情報をもとに課題やニーズを明確にし、改革の戦略を立てることで、組織文化の改革をより効果的に進めることができます。

改革の目的と目標を明確にする

明確な目的と目標は、改革の方向性を定める基盤となります。組織内での課題やニーズを正しく把握し、それらを解決するための明確な目的を設定することが大切です。

また、明確な目的を持つことで組織の理解を得やすくなったり、最適なプランを選びやすくなるというメリットもあります。

改革のプロセスをより効率的なものにするためにも、目的と目標は最初の段階で明確にしておくのが良いでしょう。

改革を実行するメンバーを明確にする

組織文化改革の成功には、適切なメンバーの選定と役割分担が欠かせません。

例えば、改革の必要性を組織全体に伝えるリーダーや、改革に必要な専門知識を持つ人、改革の意義に共感し積極的な参加意欲を持つ人などをメンバーとして選出するのが望ましいでしょう。

メンバーを明確にすることで、改革のプロセスがスムーズになり、組織からの理解も深まりやすくなることが期待できます。

組織文化の形成方法

次に、組織文化を形成する具体的な方法を見ていきましょう。

組織文化形成の簡単な流れは以下の通りです。

1. ビジョンと価値観を明確化する
2. 適切な行動規範と評価基準の設定
3. 継続的な学習とフィードバックの促進

一つずつ解説します。

企業理念とは？について知りたい人は、「企業理念とは？3つの要素を簡単に紹介！成功例から作り方と共有の仕方を学ぼう！」の記事も読んでみてくださいね。

ビジョンと価値観を明確化する

ビジョンとは、組織がどのような未来を目指すのか、社会的にどのような役割を担う企業を目指すのかを言語化したもの。価値観は、組織が重要視する原則や信念を表します。

ビジョンと価値観を明確にすることで、組織の方向性を定めることにつながり、従業員の行動指針にもなります。

ビジョンと価値観が、組織文化の基盤となると言っても良いでしょう。

適切な行動規範と評価基準の設定

従業員に何を期待するのかを明確にし、どのように行動し、成果を上げれば評価されるのかという基準を設定しましょう。

適切な行動規範と評価基準の設定は、組織の文化を明確にし、従業員が一貫性のある行動を取る道しるべとなります。

継続的な学習とフィードバックの促進

継続的な学習とフィードバックは、組織文化を発展させ、進化させるための鍵となります。

従業員が新しい知識やスキルを習得したり、失敗から学べる文化を育て、組織全体の成長と改革につながるサイクルを構築しましょう。

まとめ

今回は、組織文化について解説しました。組織文化は、組織のアイデンティティや個性を形成し、組織内外の人々に組織の特性や方向性を伝える役割を果たします。

組織文化は、組織内の全てのメンバーが共有し、共感する要素であり、その影響は組織の成功や成長に大きな影響を与えます。組織文化を適切に形成し維持することは、組織全体の方向性を示し、従業員のエンゲージメントを高め、持続的な競争力を確保するための重要な要素と言えるでしょう。

適切な組織文化を醸成し、これからの社会を生き抜く組織を作り上げていきたいですね。