コンピテンシーとは?メリットやデメリット、導入の手順までわかりやすく解説

コンピテンシーとは、仕事で成果をだしている従業員の考え方や行動特性のことです。結果を残している従業員は、思考や行動特性が似ているといわれています。そのため、優秀な人材を分析してコンピテンシーを導入すれば、効率的な会社の成長が期待できるのです。

この記事では、コンピテンシーについてや活用方法、メリット・デメリットについて解説しています。コンピテンシーの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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コンピテンシーの定義と基礎知識

コンピテンシーの定義と基礎知識

人事部にいると「コンピテンシー」という言葉を聞くことがあるかもしれません。しかし、一般的には聞きなれない言葉のため、詳しく意味を理解している人は少ないでしょう。ここでは、コンピテンシーという言葉の意味や、言葉が誕生した背景、似たような言葉との違いについてまとめています。

コンピテンシーとは

コンピテンシーとは、仕事で結果をだしている従業員の考え方や行動特性のことを指します。成果をだす従業員は、似たようなスキルや行動特性を持っているといわれているのです。

コンピテンシーを分析し、人事評価に取り入れると、個人的な気持ちや意見にとらわれることなく公平な評価ができます。また、知識や経験だけでなく性格や価値観を重視するため、採用の場面にも活かせます。

コンピテンシーは、ビジネスシーンで幅広く活用できるのです。

コンピテンシーが誕生した背景

1950年代には心理学用語として「コンピテンシー」という言葉が使われていました。その後、1973年にハーバード大学のマクレランド教授がコンピテンシーについての論文を発表したことにより、コンピテンシーという用語が世に広まったのです。論文では、就職試験や適性検査での結果だけでは個人がだすであろう成果を予想できないと論じたうえで、もっと個人の内面を調査すべきであると発表しました。

日本では、1990年代に年功序列だった人事体制が成果主義へと変わり始めたことで、コンピテンシーについて注目されるようになりました。

アビリティとの違い

アビリティとは、その人が生まれながらに持つ才能や技能、努力して手に入れた能力のことを指します。対して、コンピテンシーは能力も含めた「考え方」や「行動力」のことを指しています。

つまり、アビリティを「社会経験から得たビジネスマナー」だとすると、コンピテンシーは「ビジネスマナーを持ってプレゼンテーションをする」ということです。

その人が持つ能力(アビリティ)を発揮できる力(コンピテンシー)という違いを持っています。

コア・コンピタンスとの違い

コア・コンピタンスとは、企業が競合他社に負けない技術や技能などの中核となる強みのことを指しています。コンピテンシーとの違いは、主体が異なることです。

コア・コンピタンスは、企業や組織が社会貢献をしたり顧客への満足度を高めたりするのに対し、コンピテンシーは個人が企業や組織へ結果をだします。

コンピテンシーの活用方法

コンピテンシーの活用方法
コンピテンシーの活用方法

コンピテンシーはさまざまな場面で活用できます。ここでは、3つのシーンでの活用方法を紹介するので、コンピテンシーを導入するかどうかの参考にしてください。

人事評価で活用

コンピテンシーは人事評価でも活用できます。結果をだしている従業員の行動などを分析し、ほかの社員の評価基準にするのです。評価基準が明確になるため、公平な判断がされていることがわかり、従業員の満足度を高めることができます。

人事評価は、評価する側の主観的な意見や考え方にどうしても左右されるため、不満を持たれがちです。しかし、コンピテンシー評価は誰が見ても同じ評価になるため、従業員のモチベーションをあげるきっかけにもなるでしょう。

人材育成で活用

人材育成でコンピテンシーを活用するなら、役職などにあわせて細かくコンピテンシーを設定することをおすすめします。1年目の新人職員と8年目の中堅職員が同じ目標を持たされても、求める人物像への成長は期待できないでしょう。その人が持つスキルや経験値にあわせたコンピテンシーの設定が必要なのです。

また、細かい設定は対象となる従業員にとって、会社から期待されていることを明確に理解できます。目標を持って研修や勉強に取り組むことは、よりはやい個人の成長につながるのです。

採用・面接で活用

コンピテンシーを採用や面接のシーンで活用することで、採用のミスマッチを防ぎ離職率を下げることができます。成果をあげる従業員のコンピテンシーを明確にしておけば、会社にふさわしい優秀な人材を確保できるのです。

必要な人材は会社によってそれぞれなため、自社にあった人物かどうかを判断するためにコンピテンシーを活用しましょう。入社前にしっかりと見極めることで、採用後の早期離職を防ぐことができます。

コンピテンシー評価のメリット

コンピテンシー評価のメリット
コンピテンシー評価のメリット

コンピテンシー評価を導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、3つのメリットを 紹介します。

人材の育成が効率化する

コンピテンシー評価の導入は、人材育成へもよい影響をもたらします。社内の優秀な人材を分析し、わかったコンピテンシーを社内研修や勉強会で共有することで、さらなる優秀な人材の輩出が期待できるのです。

身近な存在である社内の従業員がモデルとなれば、結果をだすための行動が具体的に想像できるため実行しやすいでしょう。優秀な人材が増えれば、生産性の向上も期待できます。

従業員への評価がしやすくなる

コンピテンシー評価であれば基準が明確なため、評価する側にとっても迷うことがなくなります。不明瞭な評価基準だと個人的な気持ちが入ってしまうこともあるでしょう。

しかし、コンピテンシー評価はわかりやすく基準が設定されているため、誰が評価しても同じ評価になります。そのため、従業員からも不平不満がでにくいでしょう。

人事評価への納得感が高い

人事評価をすると従業員から「公平に評価されていない」と不満の声があがることがあります。上司の主観がはいっていたり、見えない努力を汲み取ってもらえなかったりと評価に対して納得できないことが原因としてあげられるでしょう。

しかし、コンピテンシー評価であれば評価基準が明確なため、従業員の納得感が高い傾向があります。

評価が主観的になりにくい

人事評価をするときに、主観的な意見で評価してしまう上司はいます。そのため、評価される従業員にとっては不利益を被っていると考える人もいるでしょう。

従業員にとって人事評価は、給与や賞与だけでなく今後のキャリアプランにも影響があるため非常に重要視しています。人事評価が平等になるだけで従業員の満足度は格段にあがるのです。

コンピテンシー評価のデメリット

コンピテンシー評価のデメリット
コンピテンシー評価のデメリット

反対に、コンピテンシー評価を導入するデメリットはどのようなことがあるのでしょうか?今後導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

導入が難しい

コンピテンシー評価を導入するには、優秀な人材の選定、分析、評価基準の決定など、導入までに手間がかかります。また、コンピテンシー評価の力を最大限に引き出すためには、部署や専門職種ごとに設定する必要があるのです。そのため、導入するまでに時間がかかってしまうでしょう。

環境の変化に対応しにくい

コンピテンシーは一度決めたらずっと使い続けられるわけではありません。時代や環境の変化に常にあわせる必要があります。また、導入していたときに違和感を覚えることもあるでしょう。そういった場合は、すぐに再設定を検討しなくてはなりません。

コンピテンシー導入の手順

コンピテンシー導入の手順
コンピテンシー導入の手順

コンピテンシーを導入するためにはどのような手順を踏む必要があるのでしょうか?ひとつずつ解説していきます。

コンピテンシーモデルの設定

社内で結果を残している従業員は誰が思い浮かびますか?複数人の優秀な従業員たちにインタビューをして、成功のカギを握っている特性を集めることからはじめましょう。また、本人が気づいていない行動特性を見つけるためにも、上司や同僚への聞き取りも行ってください。より具体的な特性をあげるためにも、本人だけでなく第三者目線を取り入れることが大切です。

評価項目・評価基準の設定

コンピテンシーモデルからわかった能力から、実際に評価に取り入れる基準を選んでいきます。その際に、自社の理念や戦略にあうかどうかも確認してください。

また、選定した評価項目や基準をどうして選んだかという理由についても説明できるようにしておきましょう。人事にかかわる人たち全員がしっかり理解しておかなければ、判断基準に違いがでることもあります。

コンピテンシーに基づく人事施策の実施

コンピテンシー項目や基準が決まったら、実際に人材育成や人事評価、採用の場面などで活用してみましょう。ただし、コンピテンシーはすぐに結果が見えるものではありません。成果となるのは時間がかかるため、長期的な視線を持つことを忘れないでください。また、コンピテンシーは、常に改善が必要です。目標は適切か、時代や会社の変化にあっているかの確認も定期的に行いましょう。

まとめ

まとめ
まとめ

コンピテンシーとは、結果をだす優秀な人材の考え方や行動力のことです。導入には手間がかかったり、常によりよいコンピテンシーへと更新する必要があったりとデメリットもあります。しかし、人事評価や人材育成、採用の場面で活用できるため、優秀な人材を増やして生産性を向上させたいと考えているのなら導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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