不正のトライアングルとは?監査基準と正当化への対策について

「不正のトライアングル」という言葉を知っていますか?これは「動機」「機会」「正当化」の3要素が揃ったときに、不正が起きるという理論です。万が一、社内で不正が起きてしまえば会社の売上はもちろん、信頼も失墜してしまいますよね。

それを防ぐために、まずはどうして不正が起きてしまうのかを知る必要があります。不正が起きてしまう原因を突き止め、正しい防止策を考えましょう。ただ闇雲に防止していても、不正は防げません。

この記事では、不正が起きてしまう理由、防止策について紹介しています。

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不正のトライアングルを知る

不正のトライアングルを知る
不正のトライアングルを知る

社内で起こる不正を防ぎたいと考えたときに、どう対処するのが効果的なのでしょうか?

まずは、不正が起こる理由について理解することが大切です。不正が起こるとき、ある3要素が原因となっていることを知っていますか?ここで詳しく解説していきます。

不正のトライアングルって何? 

不正のトライアングルとは、人間は3要素揃うと不正を行ってしまうという仕組みをモデル化した理論のことです。3要素とは「動機」「機会」「正当化」を指し、この3つが結合した時に人は不正を働いてしまうと言うのです。組織犯罪を研究するアメリカの学者が提唱した理論をもとにW・スティーブ・アルブレヒトがモデル化しました。

不正を防止するためにはこの3要素が揃わないように対策することが大切ということがわかります。

不正のトライアングル理論

不正のトライアングル理論の3要素についてもう少し詳しく見ていきましょう。

1.「動機」

まず、不正を行う動機はどういったものがあげられるでしょうか?

  • 月末にある借金の返済ができそうになく困っている
  • ギャンブルや贅沢をするための遊ぶお金が欲しい

こういった動機が引き金となり、不正を犯してしまうのです。

もちろん常識的に考えれば不正は行ってはいけないことだと理解できます。しかし、本当に金銭的に困っている人が数十万円を手にしたとき「もしこのお金が手に入ったら…」と考えてしまう気持ちは想像がつきますよね。

2.「機会」

次に、不正を行う機会とはどういったことなのでしょうか?

  • 経費として計上すれば何でも承認される
  • 立場上、自分の采配だけで会社のお金を使用できる状態にある

大きな会社でお金の管理は常にダブルチェックをしているという状況では不正は起こりにくいでしょう。しかし、ひとりで金銭管理を行っているなどといった機会があれば、不正できるのではないかと考えてしまいかねません。

3.「正当化」

最後に、不正を自分自身で正当化してしまう原因はどういったことでしょうか?

  • こんなに働いているのに給料が上がらないからしかたない
  • いつかは返せばいいだけだから少しの間だけ借りよう

不正を行う人の判断能力は、不正することで誰かに迷惑がかかるという想像力が欠如していることがあります。それは何かに追い詰められているからかもしれません。自分自身を正当化することで、「これは悪いことではない」と罪の意識を薄くしてしまうのです。

不正トライアングルの要因とは

つまり、月末にある借金の返済ができそうになく困っているという「動機」があり、経費として計上すれば何でも承認されるという「機会」があり、いつかは返せばいいだけだから少しの間だけ借りようと自分自身を「正当化」してしまえば、抵抗感が小さくなり不正をしてしまうとアルブレヒトは唱えたのです。

不正を見つける方法と防止策

不正を見つける方法と防止策
不正を見つける方法と防止策

社内で不正が起こってしまいニュースなどで取り上げられると、会社の利益・信頼が損なわれるという事の重大さは計り知れません。さらにそれだけでなく、取締役が逮捕されたり、罰金を支払うことになったりする可能性もあります。小さな不正は大きな不正につながっています。必ず不正は未然に防げるよう努めましょう。

内部監査で不正を見つける方法

内部監査は普段その業務を行わない人が、正しい業務が行われているかを確認するための調査です。第三者の目で見て、本当に正しいのかどうかを判断しています。マニュアルに従って、正しく業務が遂行されていれば不正は行われないはずですよね。虚偽報告がないか、新しいマニュアル通りに遂行されているかなど。

そのため内部監査を行う役は、「必ず不正を見つけよう」と思って業務に取り組む必要があります。そして、監査するときにどこに着目すべきかが明記されたマニュアルもあるとより厳しくチェックすることができるのです。

ここで見つけることができた誤りや改善点は、各部署やチームに詳細にフィードバックし、必ず訂正されたかどうか最後まで見届けてください。現場は内部監査が終わったという解放感から、善処することが後回しになっている可能性があります。

コンプライアンスで会社の不正を防ぐ

会社で言うコンプライアンスとは法令順守、就業規則、マナーなどのことを指します。しかし、社員は「コンプライアンス」についてきちんと理解できていますか?入社時に説明したかもしれませんが、忘れてしまっている可能性もあります。

定期的に研修を行ったり、セミナーを開催したりとコンプライアンスについて理解を深める機会を設けましょう。

経営不正とリスク対策

経営不正とリスク対策
経営不正とリスク対策

経営不正が行われることで、会社は損失を被ってしまうことになります。そのため、リスク対策を取ることは非常に重要です。コンプライアンスを強化することは、リスク対策につながります。ここで具体的にどうすればいいかを紹介するので、参考にしてください。

経営不正の種類と見つけ方

不正会計は種類分けすることができ、以下の3つに分けられます。

  1. 横領(経費を架空計上したり、備品を転売すること)
  2. 水増し(実際には販売していないのに書類上では売買されたように見せること)
  3. 押し込み販売(自社商品を取引先に無理やり購入してもらうこと)

これらを防止するためには、複数人でのチェック体制が必要です。また、担当者を定期的に変更することで不正が行われていないかを確認しましょう。

お金を管理するということはどんなに忙しくても怠ってはいけません。たった1回だから大丈夫だというその考えが、不正を引き起こしてしまう原因となってしまいます。

リスク対策の重要性

リスク対策をすることは会社を守るために重要です。対策を怠ってしまったがために、会社が損失を被ったり、今後の経営に影響がでてしまったという事例はたくさんあります。

一時的な損失であれば耐えることができるかもしれませんが、経営困難に陥ってしまってしまい取り返しのつかないことになることもあるのです。リスク対策は必ず行いましょう。

コンプライアンスを強化する方法

コンプライアンスを強化するために効果的なのは、以下の4つの方法です。

  1. 社内規定の設定
  2. コンプライアンス教育の実施
  3. 企業内ルールの設定
  4. 内部通報窓口の設置

1.社内規定の設定

社内規定にコンプライアンスについて記載する際は、誰が見てもわかりやすくシンプルに明記することが大切です。

2.コンプライアンス教育の実施

社員がコンプライアンスについてきちんと理解しておく必要があります。定期的に研修をしたり、朝礼でコンプライアンス違反の事例を共有したりしましょう。

3.企業内ルールの設定

企業内ルールは業務を正しく遂行するために必要だと感じるルールのことを指します。例えば、「接待の際には事前に上司の許可を取ったうえで、領収証は翌日提出する」というルール。こういった決めごとがあるだけで、経費を架空計上される心配が少なくなります。

4.内部通報窓口の設置

もし上司が不正をしていることに気付いたとしても、部下は立場上言いにくいですよね。「不正を早期発見できれば未然に防げたかもしれないのに…」という事態を防ぐためにも、窓口を設置しておきましょう。一般的には社外に設置されることが多く、匿名でも相談できまるようになっています。電話だけでなくメールでも相談可能というように、気軽に利用できる体制を取ることが大切です。

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