従業員体験(Employee Experience:EX)とは?事例をもとに価値を向上させる方法を紹介

「従業員体験っていったい何?」

「従業員体験の向上が大切と言われるのはなぜ?」

このように、従業員体験の意義を知りたい方や、従業員体験についての疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、従業員体験の定義と重要性から、従業員体験の向上のための手法まで、「従業員体験とは何か」について詳しく解説します。

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従業員体験(Employee Experience:EX)とは

従業員体験とは?
従業員体験とは?

近年、労働人口の減少や人材確保の難しさから、「従業員体験」を重視する企業が増えてきています。

従業員体験とは、英語のEmployee Experienceを日本語に訳したものです。略して「EX」とも呼ばれ、従業員が仕事をする上で得る経験や実体験のことを指します。「仕事や会社を通して経験するすべての事柄」と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

「顧客体験は聞いたことがあるけれど、従業員体験は初めて聞いた」という方もいるかもしれません。従業員体験は、近年、顧客体験と同様に重要視されつつある新しい考え方です。

EX推進(向上)とその事例

「従業員体験」は、日本語でしばしば表現される言葉で、英語では「Employee Experience」またはその略語「EX」と呼ばれます。この概念は、従業員の満足感や関与度を向上させることを目指しています。

GoogleやFacebookを含む多くの海外企業は、EXを向上させるための方策を積極的に実施しています。これらの企業は独自の方法でEXを高める施策を実施し、従業員の満足度やエンゲージメントを向上させています。

Google

Googleは、EX推進の最先端に立つ企業としてよく知られています。Googleのキャンパスは、無料の高品質な食事、フィットネスセンター、豊富な社内イベントなど、従業員が働きやすい環境を提供しています。また、従業員の意見を聞くための定期的なアンケートやフィードバックセッションを行い、その結果を基に職場環境を改善する取り組みを行っています。

Salesforce

CRMのリーダーであるSalesforceは、企業文化を築く上でEXが重要であると強く信じています。同社は「Ohana(家族)文化」と呼ばれるものを築き上げており、それは従業員が互いに支え合い、個々の成功と企業全体の成功を共有するという考え方を表しています。また、Salesforceはチャリティ活動にも積極的で、全従業員に年間7日間の有給ボランティア休暇を提供しています。

Microsoft

テクノロジー企業のMicrosoftもEXを重視しています。同社は「Growth Mindset」の文化を推進しており、失敗から学び、継続的な改善と成長を追求することを奨励しています。また、フレキシブルな働き方を推進し、従業員が仕事と私生活をうまくバランスさせることができる環境を提供しています。

従業員体験の価値

では、なぜ「従業員体験」が重視され始めているのでしょうか?

それは、従業員体験の豊かさが、従業員のモチベーションや生産性に直結することがわかってきたからです。

従業員体験は、「従業員にいかにストレスなく働いてもらうか」を重視します。従業員が職場環境に満足し、自分の仕事にやりがいを感じていれば、メリハリをもって働くことができ、会社への貢献度や定着率も高まります。従業員それぞれの生産性の向上が、企業の成長を促すことは言うまでもありません。

従業員体験は、企業の成長に欠かせない重要な要素と言えるでしょう。

従業員エクスペリエンスとエンゲージメントの違い

「従業員エクスペリエンス(Employee Experience)」と「エンゲージメント(Employee Engagement)」は、両方とも従業員が働く環境とその結果に焦点を当てていますが、それぞれ異なる側面を強調しています。

「従業員エクスペリエンス」は、従業員が採用から退職までの全体的な旅程を通じて経験する全てを指します。これには職場の環境、企業文化、提供されるベネフィットやリソース、働き方、リーダーシップスタイルなどが含まれます。従業員エクスペリエンスは全体的な職場体験を形成し、これが良好であると、従業員はより満足感を感じ、仕事に対してより献身的になる可能性があります。

一方、「エンゲージメント」は従業員が自分の仕事や組織にどれほど心理的にコミットしているかを測るものです。エンゲージメントが高い従業員は、組織の目標と価値観に共感し、自分の仕事に情熱を持ち、自身の業務を通じて組織の成功に寄与する意欲が高いです。

従業員エクスペリエンスは広範で全体的な視点を提供し、エンゲージメントはその一部分に焦点を当てています。しかし、良好な従業員エクスペリエンスは通常、高いエンゲージメントを促進する一方で、エンゲージメントが高いと従業員エクスペリエンスの向上に寄与します。

従業員体験を向上させる要素

従業員体験を向上させる要素
従業員体験を向上させる要素

従業員体験が大切なのは先ほど紹介した通りですが、従業員体験を向上させるにはどうしたら良いのでしょうか?

ここからは、企業が従業員体験を向上させるために重要な要素を解説していきます。取り上げる要素は以下の6つです。

  • オンボーディングプロセス
  • 職場環境と文化
  • キャリア開発とスキルアップ
  • リーダーシップとマネジメント
  • 報酬と福利厚生
  • 従業員のエンゲージメント

一つずつ解説しますので、気になる要素をチェックしてみてくださいね。

オンボーディングプロセス

オンボーディングプロセスとは、新入社員が企業に入社した際に、必要な教育・訓練を受け、業務に必要な知識やスキルを身につけ、社内文化やルールを理解するためのプロセスのことを指します。

オンボーディングプロセスにおいて、適切な従業員体験を用意することは、新規採用者の定着や生産性の向上につながります。

具体的には、新規採用者が企業についての知識を深め、不安や疑問を軽減し、より愛着とやりがいを抱く期間であるのが望ましいでしょう。

右も左もわからないままに業務に配属されたり、疑問点を解決しにくい環境に置かれることは、新規採用者にとって大きなストレスです。コミュニケーションを重視し、新規採用者が会社に馴染みやすい環境を提供することが、従業員体験の向上につながります。

職場環境と文化

職場環境と文化は、従業員体験を向上させる上で重要な要素の一つです。

職場環境が心地よく、社員が働きやすい環境であることは、モチベーションや生産性の向上につながります。また、社員の成長を支援し、適切に評価する企業文化があれば、社員は自分自身を成長させることに情熱を注ぎ、職場環境に満足して定着率も高くなります。

具体的には、職場環境はオフィスの清潔さや快適さ、コミュニケーション手段やツールの充実、フレックスタイム制やリモートワークの拡充など柔軟な働き方への対応が挙げられます。

さらに上司による適切なマネジメントや、フィードバック文化の導入など、従業員が働きやすく、成長を促進する環境を作り出すことが大切です。

キャリア開発とスキルアップ

従業員が自己成長の機会を持ち、自分自身のキャリアの方向性を見いだせるような環境を提供することも、従業員体験の向上につながります。

具体的には、キャリア開発やスキルアップのための社内研修や外部研修の提供、キャリアアップのためのロングテール的なキャリアパスの設定やキャリアカウンセリングを行うことが挙げられます。

これらの施策は、従業員の労働への意欲を高めるとともに、企業の人材育成にもつながります。

リーダーシップとマネジメント

管理職のリーダーシップとマネジメント能力を高めることも、従業員体験の向上につながる重要な要素です。

頼りがいのある上司がいる部署や、リーダーシップが取れているチームの業績が高いことは言うまでもありませんよね。

組織の方向性や目標を明確に示し、従業員を導いたり不安を解消できるリーダーがいることは、従業員のストレス軽減や生産性の向上につながります。またここで重要となるのが、企業のマネジメントの質です。成果が適切に評価され、成果に対するフィードバックが行われることも、従業員のモチベーション向上や成長を促す効果が期待できるでしょう。

リーダーシップとマネジメント能力の向上のためには、管理職に対する研修やマネジメント研修を導入し、リーダーを育成していく環境を構築することも大切です。

報酬と福利厚生

適切な報酬と充実した福利厚生を提供することも、従業員体験の向上につながる重要な要素です。

従業員に適切かつ十分な報酬を与えることが、モチベーションの向上や定着率の向上につながることは言うまでもありません。また、福利厚生の充実は従業員の生活の安定やストレスの軽減にも役立ちます。

さらに近年、福利厚生の充実や柔軟な労働環境への対応は、企業のブランド力や採用力を高める要素としても注目されています。

従業員に適正な報酬と福利厚生を提供し、働きがいのある職場を実現することは、企業と従業員の双方にとってメリットがあると言えるでしょう。

従業員のエンゲージメント

従業員のエンゲージメントとは、企業の目的や価値観に共感し、その実現に向けて積極的に行動する意思を指します。「仕事に対する誇りを持って行動する意思」と言い換えるとわかりやすいかもしれません。

なぜ従業員のエンゲージメントが従業員体験の向上に大切かというと、誇れる仕事をしているという気持ちそのものが、従業員体験の豊かさにつながるからです。

従業員のエンゲージメントを高めるためには、従業員が誇れる企業づくりを行う必要があります。具体的には、企業の理念や目標を明確にすることや、働きやすい環境の構築、従業員の貢献に対する適切な報酬の付与などが大切です。

従業員体験の評価方法

従業員体験の評価方法
従業員体験の評価方法

ここまで、従業員体験を向上させる6つの要素について解説してきました。従業員体験の重要性や向上のための改善点がわかってきたのではないでしょうか。

ここからは、現在の従業員体験を見直し、従業員体験を向上させる適切な環境を構築するための評価方法について解説します。

従業員満足度調査

従業員体験の評価方法として、従業員満足度調査があります。従業員が働く環境や福利厚生、上司や同僚との関係など、様々な要素についてアンケート調査を行い、従業員の満足度を測るものです。

従業員満足度調査は、従業員の意見を集めることで、従業員が直面する問題や改善すべき点を明確にし、改善策を検討する上での重要な情報源となります。

しかし、従業員満足度調査の結果をただ受け取るだけでは意味がありません。課題を見つけ出し、改善策を実行していくことが重要です。

定期的なフィードバック

定期的なフィードバックを行うことも、従業員体験の評価方法として有効な手段です。

アンケートの実施や文章でのフィードバックだけでなく、面談やディスカッションなどのコミュニケーションを取り入れることも意識しましょう。

定期的なフィードバックにより、従業員体験の評価や認識を定期的に改められるほか、対面でのコミュニケーションを行うことで、社内の風通しのよさや従業員エンゲージメントの構築にも役立ちます。

従業員エンゲージメント指標

従業員エンゲージメント指標とは、従業員が企業にどれだけ愛着や信頼を持っているかを測り、従業員と企業の関係性を数値で表したものです。従業員がどれだけやりがいを持って働いているかを数値で確認することができるため、従業員体験の評価にも活用されています。

従業員エンゲージメント指標は主に、以下のような質問を行うアンケートで算出されます。

  • 自分が勤める会社を、求職中の知人や家族に紹介したいと思うか
  • 現在勤めている企業で今後も働き続けたいか
  • 上司や同僚との関係は上手くいっているか
  • 職場環境・設備にどれくらい満足しているか
  • 企業に対する総合的な満足度

しかし、従業員エンゲージメント指標には、調査方法や質問内容、解釈の仕方によって偏りが生じることがあるため、継続的な評価と改善は欠かせません。

従業員体験改善のための戦略立案

従業員体験改善のための戦略立案
従業員体験改善のための戦略立案

従業員体験の重要性がわかったところで、従業員体験改善のための戦略立案に移りましょう。

ここからは、従業員体験の向上を成功させた企業の事例や、新しい働き方に対応した従業員体験を紹介します。

成功事例:従業員体験を向上させた企業

「従業員体験の改善を目指すと言っても、何から手を付けたらいいかわからない」という場合は、従業員体験を向上させた企業の成功事例を参考にしてみましょう。

従業員体験の向上のためにどんな手法を取ったのか、成功企業の従業員はどのような考えを持っているのか。まずは目標を定めるために、様々な事例を知ることも大切です。気になるポイントや、参考にできそうな施策があれば、積極的にチェックしてください。

従業員体験の未来:新しい働き方とテクノロジーの影響

従業員体験の改善のためには、まずは従業員のニーズを理解し、従業員体験の評価方法を確立することが重要です。

しかし今後、リモートワークや自動化技術のさらなる普及により、従業員が求めるニーズも変化していくことも予想されます。従業員のニーズにこたえ、従業員体験を向上させるためには、企業がこれまでのやり方を変える必要も出てくるでしょう。

特に、若い働き手を求める場合、新しい働き方やテクノロジーを受け入れることはとても大切です。

柔軟な姿勢と未来を見据えた視点で、従業員体験の向上を目指していきたいですね。

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